『日本国憲法 前文』
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北原白秋
(大正10年)
「落葉松」
一
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
二
からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。
三
からまつの林の奥も
わが通る道はありけり。
霧雨のかかる道なり。
山風のかよふ道なり。
四
からまつの林の道は
われのみか、ひともかよひぬ。
ほそぼそと通ふ道なり。
さびさびといそぐ道なり。
五
からまつの林を過ぎて、
ゆゑしらず歩みひそめつ。
からまつはさびしかりけり、
からまつとささやきにけり。
六
からまつの林を出でて、
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
からまつのまたそのうへに。
七
からまつの林の雨は
さびしけどいよよしづけし。
かんこ鳥鳴けるのみなる。
からまつの濡るるのみなる。
八
世の中よ、あはれなりけり。
常なけどうれしかりけり。
山川に山がはの音、
からまつにからまつのかぜ。
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きたはら はく4すー
¥たい4そー @一○ねん¥
〜からまつ〜
@一
からまつの はやしを す5きて8
からまつを しみ5しみと みき9
からまつわ さ5ひしかりけり9
た5ひゆくわ さ5ひしかりけり9
@二
からまつの はやしを い5てて8
からまつの はやしに いりぬ9
からまつの はやしに いりて8
また ほそく みちわ つ5つけり9
@三
からまつの はやしの おくも
わ5か とおる みちわ ありけり9
きりさめの かかる みちなり9
やまか5せの かよう みちなり9
@四
からまつの はやしの みちわ
われのみか8 ひとも かよいぬ9
ほそ5ほそと かよう みちなり9
さ5ひさ5ひと いそ5く みちなり9
@五
からまつの はやしを す5きて8
ゆえしら5す あゆみ ひそめつ9
からまつわ さ5ひしかりけり8
からまつと ささやきにけり9
@六
からまつの はやしを い5てて8
あさまねに け5ふり たつ みつ9
あさまねに け5ふり たつ みつ9
からまつの また そのうえに9
@七
からまつの はやしの あめわ
さ5ひしけ5と いよよ し5すけし9
かんこ5とり なけるのみなる9
からまつの ぬるるのみなる9
@八
よのなかよ8 あわれなりけり9
つね なけ5と うれしかりけり9
やま5かわに やま5かわの おと8
からまつに からまつの か5せ9
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